映画雑文 トカ

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空白の正体で、視点が逆転する…。【空白】ネタバレ感想。

【空白】観ました。

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ネタバレ注意⚠️⚠️

あまりにも、力に物言わせて攻めてくるタイプの映画過ぎて 受け身取るのがやっとでした。。

【 強パンチ限定スタイル 】

いやもう、所々に光る演出も見受けられるんだけどそれを上回る週刊連載感というか、強パンチしか繰り出してこない戦闘スタイルは、大波が堤防を決壊させるかの如く終盤のまとめの部分で崩壊。父親のキャラを勢いに任せて強くし過ぎた結果、突如 まったく情緒が理解できない仏モードに到達してしまい、急に演技がド下手クソになる古田新太さんの豹変ぶりにどういう心持ちでエンドロール迎えればいいのか完全に迷子になったまま幕を閉じてしまいました。 「予告では消されてるけど、本編は絶対に事故の瞬間をハッキリ描写してるだろうな」ってことはかなりの視聴者さんが予想してたろうけど、まさかあそこまでやるなんて聞いてない。。桃李くんが孤狼の血より残酷な場面に遭遇するなんて誰が予想できるものか。明らかに必要最低限の事故描写を超越してるし、それが残酷であればあるほどに人物への共感が深くなるといった場面でもないと思うので、もうこの部分から完全に強パンチが過ぎる。。瞬間を見せず、事後描写だけでも十分だったと思いますがあれを見せられた後だと、あのシーン=この映画。くらいのインパクトを残してるので無駄だったとも言えず。。いや、これはかなりキツいです。。

【 こんな題材をよくぞ 】

世間やメディアに遊ばれる、最強の面白モンスターという立ち位置で被害者家族を描いた 唯一無二の題材選びには スタンディングオベーション。この題材は着眼点すごすぎる。。古田新太さんが記者に言い放った、「ケンカ売ってるのか!?」っていうのがネットのおもしろ画像にされて遊ばれるみたいな、映画内世界のリアリティ再現度の高さも、えげつない。あんなキャラがメディアに出てきたら絶対にこうなるっていう的を的確に射抜いてくる。 メディアの印象操作を映像として表現するのもこれまた的確で無駄を削ぎ落とした、文句のつけようが無い完成度な分、ニュース番組自体のクオリティがめちゃくちゃ低かったのは心底残念。。銀魂の実写か ってくらいニュース番組のスタジオや配役がウソっぽかった。

【 食べ物を粗末にしない 】

桃李くんが必死に抑え込んでた行き場のない怒りやストレスが、寺島しのぶとかにではなく、ちっちゃなお弁当のミスに対して大爆発するっていう精神の危うさなんかも もう、笑っちゃうくらいスゴくて、そのあと謝罪の電話入れてしまう誠実さのこぼれ方まで描写として面白過ぎました。その後の撒き散らされたお弁当の哀れな感じというか、悲しさも。寺島さんの方でもカレーがド汚く撒き散らされてて、食べ物を粗末にしがいがあるというか、この作品は稀にみる完璧な食べ物の無駄遣いを見せてくれる作品だなと思いました。勿体ないなぁって思わせないレベルに演出として無駄のない無駄遣いだった。寺島さんの「だりぃ…っ」って気持ちが言語化されてた。

寺島しのぶさんヤバ。】

古田さん、松坂さんのキャスティングはまず間違いなく最高として、寺島しのぶさんのキャスティングの妙よ。。あれだけのバランス感覚持ってたら、半日は地球儀の上で片足立ち出来ると思う。鬱陶しさ、正義感の振りかざし方、恋愛対象にならない空気感、あのキャラクターに必要な要素を全てフルパワー120%で体現してた。

【 ラスト25分の拒否反応 】

もう後半は、事件の余波によって誰が不幸になってくのかっていう史上最悪のロシアンルーレット開始しててその結末はもちろん最悪だったんですが、古田さんのキャラはどうしてあんなことに。。みんなが古田さんにはそうなってほしいと願い続けた展開ではあったんだけれど、現実になってしまうとあまりにも人間味を取り戻し過ぎててその事実を全然噛み砕けず、ノドに魚の骨が詰まったような気持ち悪さと共に終わってしまった。。

桃李くんが自殺を試みて、それに反応する古田さん、からの自殺した遺体、っていう描写は一瞬桃李くんの理想の夢かと思ってたら、あそこであの女性が亡くなってる描写をわざとズラして挟んでたのね。。分かりづらかった。。

あのお母さんからの謝罪で古田さんのキャラに波が生じたのは共感しかないんですが、そっからの善人化がまったく受け入れられず、この気持ち悪さどうすればいいんだ!イルカの絵も、都合良過ぎるし。。

【 空白の正体 / 追記 】

あまりにも終盤が気持ち悪過ぎて、いろいろ自分なりに悩み続けた結果、空白が、事務所で何があったのかを差した言葉として考えていくと桃李くんがほんとに痴漢目的で裏に連れてったって設定で全体を見渡すのが1番納得できるということが判明。。なんで古田新太のキャラクターがあんな幸せそうなラスト迎えるんだよ!って憤ってたけど、コレみんなに誤解される凶暴な男だけれど、向かう方向だけは合ってたっていうことならめちゃくちゃ理解できる。万引きすら実はしていなくて、「連れていかれた」ってことだけが事実で、そこからの空白で桃李くんがあの子に痴漢をしていた。あの執拗なまでに分かりやすいヤバいキャラクターっていうの自体が、正解の方向に向いていた古田さんのキャラを隠すためのカモフラージュだったとしたら。その考え方で古田さんを追いかけていくと、いままでの気持ち悪さが一気に消えていく。もう明らかに桃李がおかしく見えてきた。、これもう【スリービルボード】やん。、

この視点の違い一つで、大嫌いだったラストの印象が大きく変わっていく。どっちの視点でも違和感なく観れるので、そこまで計算して作られてるのも確か。これはこれは。。

ありがとうございました。。!