映画雑文 トカ

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すべての衝突が「事前に伝えてない」だけ…【コーダ / あいのうた】ネタバレ感想‼️

【コーダ / あいのうた】観ました。

ネタバレ注意です⚠️⚠️

結構長めな文句。

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【 ほん…っとに面白くない… 】

学校に好きな男子が居て、嫌味な女子が居て、友達が居て、ちょっと個性的な先生が居て…っていうシンプルの極地みたいなキャラクター配置してるので、よくこんな垢まみれな作りした作品がここまで評価されてるなと、「この映画いったいどれだけ面白くなるんだよ…」って期待してた分、あまりにも面白くない2時間の映画体験に付き合わされて、もしこれをデートムービーとして観てた場合、交際相手に怒りの矛先向けて、道に人だかりができるぐらいの大ゲンカに発展させる自信がある。ほん…っとに面白くなかった。

家庭にお金が無い、漁師になる将来がほぼほぼ確定してる、他人と会話するための通訳として家族に存在を求められてる、家族には自分の大好きな歌が届かない、などなど、コレでもかってぐらいの最悪な環境に主人公を配置してたので、十分面白くなる要素は揃ってたはずなのに…。

【良かったところは、2つ】

内容が下ネタであろうが家族に向けて通訳しなきゃいけないとか、父親の下ネタを強制的に言わされてる娘っていうキャラ付けなんかは、まず滅多に出会えない設定なので面白かったです。

歌う時の気分を手話で表現するのとかも、手話って美しいなと思いました。映画と同じで、手話って映像表現なんだな。

時折流れる歌の歌詞が毎度毎度ストレートすぎて、フィクション感がバリ強いのはかなり苦手でした。あまりにも物語のために用意された歌すぎる。

【感じ出す違和感…】

家族と他人の間にルビーが居なくなるだけで、途端に意思が通じなくなってひとりぼっちになるのは怖いなって思ったけど、スマホ…。使うとか…。現代劇なのに、そのへん一切活用してないことにものすごい違和感がまとわり付く。バーの女の子とはすぐにスマホで会話始めてたりして、「ん…?」ってなることがちょくちょくある。

で、そのバーの女の子と関係持つの、早ッ。て思ってたら 兄貴を誘惑してた、ルビーの友達でした。いやあれネタじゃなくマジで狙ってたんかい。普通なら異性の体目当てで動く女友達なんてアレなんだけど、この作品に関しては 相手が ろう者であることを意に介さずにアタックかけてくあの子の迷いの無さは目立つ。後半に向けてその部分がフューチャーされるんだろうなと思ったら、何事もなく家族の一員みたいになってて「ん…?」が再来した。そこ深掘りしないの勿体無くないか…?主人公イジってくる女子もほぼノータッチだし、マイルズが「きみは完璧」って言った理由でもある、生きづらい家庭環境に関しても匂わせるだけで終わる。この辺りのバランス、ちょっとどうかしてます。

【違和感の正体、判明】

「取材があることを事前に娘に伝えてない」とかリアリティ部分の作りがかなり雑で、普通なら娘は、レッスンで遅刻できないことを家族に伝えてるだろうし、親は親で、取材あることを事前に娘に伝えるはず。揉め事を起こしたいならその事前の話し合いのほうでやればいいのに、わざわざインタビュー当日にその展開を持ってきてるのが、わざとらしかった。

あの先生に対しても、主人公は家庭の事情をしっかり伝えておいて欲しいし、先生はなぜ面倒見てる主人公がいつも遅れてくる理由を聞かないのか。だいぶ作りが雑なので、見ててイライラしてきます。これは、他者が自分の忙しさを理解してくれない皮肉とかではなくて、作りが下手だから生じてるだけの問題。

母親の「時期が悪いわ」に対して「いい時なんてこない」って主人公が言い返すけど、マジで事業始める前にそれは伝えとこうよ…って思った。毎回ケンカさせるタイミングが絶望的なまでに下手。

あの先生が手話をミスして下ネタを投下するシーンも、コイツがここまでに積み上げてきた他人への理解不足があるから、マジでウザかった。この先生、マジで他人のことちゃんと理解しようとしてないし、よくそんな重要なシーンを下品なコメディにできるもんだな、脚本家…。

【監視員とかいう、地獄の死者】

監視員に「あの2人は耳が聞こえないんだ」ってことを誰も伝えてないの、脚本からリアリティが行方不明になっててひっくり返った。この映画、「事前に伝えておく」っていう当たり前にある人生の一部分を根こそぎ描いてないから、キャラがみんなバカになってる。

「音が聞こえないから、船の異音に気づいてなかった」っていう展開も、いままでルビーが居ても気づいてなかったんだから、「音が聞こえないから今まで気付いてなかった」っていう驚きには正直出来てない。単純に監視員が死神すぎるだけで、監視員乗せなきゃいけなくなった時点でこの家族は詰んでたんだっていう恐ろしい現実が残るだけ。そして職場の奴らは誰一人として、この家族が仕事失う可能性を危惧してあげないの、酷すぎる。監視員なんて来たら、一発アウトな環境で仕事してたぞ。

【ちょっと待ってもらった】

監視員との衝突後、帰ってきた主人公に対して家族がキレるシーン始まったとき、映画に向かって「ちょっと待って…」って呟きながら、ほんとに動画を停止してちょっと待ってもらいました。Twitterとかで「ちょっと待って…」って呟く人はいるけど、ホントに待ってもらったのはおれが初です。

真剣な話、もうなんか…この家族、おかしくないですか?なんでこんなに家族の思考と主人公の思考が乖離してくるんだ…?通訳の重要性なんてこの家族にとってはいまに始まったことじゃないだろうし、なぜそんな問題に人生のこの段階でぶつかるんだ…?しかも、なんのために科学が進歩してると思ってんだ。スマホ使ったりとか無理なのか…。そこまでの経済状態なのか、何も分からない…。ストーリーの浮き沈みを作るために、この家族に必然的にあったはずの役割分担的な過去がえぐり取られてる。家族みんな「自分のせいじゃない」っスタンスだけど、コレじゃ、みんな「自分のせい」になってるよ。

【いちばんダメだったシーン】

自分は耳が聞こえるので分かりませんが、後半、音楽を無音にするだけで、あんなに周りのひとたちが楽しそうにしてるのに、自分の娘の歌に対してあそこまで反感のこもった懐疑的な顔つきでキョロキョロしてる父親の描き方には、超が付くほどご立腹しました。「周囲の人たちが、なぜ歌に感動してるのか分からない」ってことを描こうとしてるのはもちろん分かるんだけど、娘の歌声にみんなが感動してるという事実自体には、嬉しい気持ちとか全く無いんだ…ってことがイヤだった。大好きな娘がみんなに認められてるのに、自分が理解出来ないからって不満顔キメ込んでるの、いったい人間性どうなってんだよ。直接、娘が自分のためだけに歌ってくれて、その娘のノドの震えを確かめるとこまで行かないと感情に届かないのか。生まれつき音がない世界で生きてきてるから、「まず歌ってなんやねん…」って心境を抱き続けてるのは分かるけど…。個人的に一番ダメなシーンでした。

【終盤もひどい】

終盤、とうとう遅刻の原因にまで「事前に伝えろ」が侵食してきた。30分遅刻なんて通常では洒落にならんやろ、ファンサービスのように遅刻を乱用するな。最後の最後で、先生から教え込まれた遅刻しない意識が功を成すとか何も無いんか。先生が遅刻に厳しかった理由だけ、なんでただのリアリティなんだよ。なにかしらの展開に発展させろよ。


貯めて貯めて、ついに家族に歌を届ける方法が「手話をしながら歌う」っていう、「100年前の映画ですか…?」って思うようなオチには、両足に衝撃が走りました。誰もが思いつく、第一段階みたいな手段をここまでストレートにぶつけられると普通にびっくりする。マジでマジで…、この映画のどこが泣けるんだ……。感動ポイントがひたすらに分かんなかった…。


ラスト、指サインするシーンを予告で見たときは、前半で軽くあの指サインの意味に触れておいて、最後の最後にもう一回あのサインが出てきて感動させる作りなんだろうなって思ってたら、前振りとか一切無しにあの指サインで物語が締められて、「…はい?」ってなりました。単純に「アイラブユー」って意味らしいんだけど、マジでこの脚本家は【花とアリス】の「ウォーアイニー」のくだりを見直してきて下さい、ボンクラが。

【まとめます】

予定調和な前半30分。面白くなりそうな予感を見せてきた、〜50分。55分から始まる、脚本家の急激な知能の低下。底が抜けたように落下を続けるラストスパートと、ガッカリ映画のお手本のような作品でした。

マイルズ役のウォルシュ・ピーロの【シングストリート】以来の現在が観れたのは、嬉しかったです。

こんな脚本の映画が、実際のろう者の方が演じてる部分とかで余計に評価されてるの、マジで映画のクオリティが終わる未来が見えてきた。0にどんな数字掛けても、0は0であってくれ。

ありがとうございました。