人魚のスープ、味薄っ。【パイレーツオブカリビアン 生命の泉】

【 パイレーツオブカリビアン 生命の泉 】を観ました。ネタバレ注意⚠️⚠️

【 パイレーツらしい序盤 】

監督が舞台系の人っていうのが理由で、作風がコミカルになり過ぎてるみたいな悪評を公開当時どこからか耳にした記憶があったんですが、あれ言ってたの誰ですか…？自分的に今回の【生命の泉】でいちばん心、グワシッと掴まれたのが序盤のコミカルな逃走劇で、シリーズの中でも頭３つくらい抜ける面白さだったデッドマンズチェストでのジャングルからの脱走劇や、箱とカギの争奪戦を彷彿させるような、てんやわんやアクションを見事に再現してて、もう序盤にして期待しかなかったです。

アクションの結末で酒場に到着するっていう無駄のない着地から、確実に製作陣のなかに、女性を男装させる癖 持った奴おるやろっていうペネロペクルスの登場のさせ方まで、いままでのパイレーツオブカリビアンらしさを嫌と言うほど感じさせる本作でしたが、今回の敵である黒ひげ登場あたりからなにやら雲行きが怪しくなってきます。

【 森に次ぐ森と、人魚の薄さ 】

今回の目的である生命の泉が森の中にあるということで、シチュエーションが、街、船の上、森っていう３パターンからまったく広がりを見せなかったのがとにかく惜しかった。いままでみたいに、目まぐるしいスピードで状況と場所が変わっていく面白さが皆無だったのと、人魚っていう かなり海賊らしくて面白く広げられそうな要素を、主人公のジャックとまるで関係のない牧師との恋だけで描いてたのも勿体なかった。牧師も人魚もジャックにとってはマジでどうなってもいい存在でしかなく、彼らが何をしようとジャックの行動が大きく変わるとは到底思えなかったので、どうせなら人魚の涙とかいう、人情話以上の展開が見込めないアイテムで終わらせるよりも、聖杯のありか自体を人魚の住処にして、森→深海→人魚の住処→生命の泉っていう少しでも動きがあって場所も変わるような展開を作って、人魚と主人公のジャックを密接に関わらせて欲しかったです。 ●捕まえた人魚を人質に、人魚たちから聖杯を奪おうとするジャック。 ●それを止めようとする牧師。 ●ジャックを身代わりの人形で脅してる黒ひげ。 ●捕まった人魚を取り戻すため、身代わりの人形を奪おうとする人魚たち、くらいそれぞれが密な関係性を見たかった。いまいちキャラクターの配置がピンと来なかったです。

【とは言えなんだかんだ好き 】

バルボッサに至ってはもう、ギブスくんよりジャックの相棒感出てるので、１.３.５作目くらいの間を開けて見たかったなとは思うところ。ただ、バルボッサVS黒ひげみたいな、敵VS敵っていう、みんな大好きなカレーライス展開があったりしたのは、さすがパイレーツオブカリビアン！って感じでした。こういう、何でもかんでも主人公のジャックが活躍して終わりっていう超大作シリーズじゃないのも結構好きなポイント。

パイレーツオブカリビアン自体がシリーズものだからこその面白さに全振りしてる作品だと思ってるので、ここに来ての１作完結は冗談じゃないほどハードル高かったんじゃないかと思います。相当な腕力ある人じゃないと3部作をこれ１作で越えるのは難しいて。。１作目の呪われた海賊たちも、一応１作で完結してるとはいえ、大きな3部作の一部として捉えてるので色眼鏡なしには正直比べれないし。

【 総括じゃ。 】

デッドマンズチェストからのワールドエンドっていう２作に渡る大航海を経験してる観客からすると、ヒゲ如きじゃ隠しきれない黒ひげの小物感や、森を彷徨うだけっていう今作の世界観の小ささに、全体的に「面白くない」って評価になったのは十分理解できる流れかなって思います。掴みは全然悪くなかったんですが、やっぱりパイレーツはシリーズじゃないと。

そうなると、超が３つ付くくらい期待してる次回作【最後の海賊】もなんだか見るの不安になってきてて嫌だなぁ。

個人的にパイレーツシリーズは、敵船の雑魚たちが骨とかサカナとかゾンビとか、パッと見の印象どれも似てるのを なんとかしてほしい。全員白スーツ着るくらい色合いに変化作って欲しいです。けっこう切実なお願い。

ありがとうございました。