映画雑文 トカ

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マトリョーシカみたいな密度。【さがす】ネタバレ感想。

さがす、観ました。

注意注意⚠️⚠️

 

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【片山監督、ポケモンだった】

この密度で2時間なの信じられない。しかもスタートの30分はほぼ予告編通りの展開なので、実質1時間半の新事実だけでこの密度。この序盤の方で犯人に会うのは面白かったけど、そこでいったん話が止まってもういっかい犯人との出会いを描く作りは遠回りしてる感じがして勿体無かった…!全体的に面白かったかどうかはいったん置いておいて、アート系に振り切ってないエンタメ作品としての技術力だけならポン・ジュノ濱口竜介も自分の頭に足乗っけられてるくらい高い位置で片山監督に超えられてると思う。前作の【岬の兄弟】も良かったとはいえ、序盤のポケモンくらいレベル上がるのが早いぞ、片山監督…。

 

【片山監督、オバケだった】

作品に関しては、観客を驚かせようとする姿勢が凄過ぎて、もはや 目ぇ血走らせながら追いかけてくるお化け屋敷の幽霊みたいでした。ちょっと怖い。でもその割に、気合い入れすぎて観客を追い越していく【ドライブマイカー】みたいなことにならず、ちゃんと映画のストーリーとして理解できる範囲で演出をまとめてたのは「しっかりしてらっしゃるわー」とご近所マダムの気持ちになった。濱口竜介監督よりは、観客のことをきちんと考えたうえで作品を作られてて好感が持てました。これから評価されて行くにつれてああいう作風にならなかったらいいな…。

韓国映画の影響を受けました」ってのが、漫画界で言うところの「担当が林士平」みたいなことになりそう。そこを通ってるなら面白そうだな、みたいな。それに席巻されるのは、個人的にはイヤだけど。

 

【犯人像ぅぇ…】

佐藤二郎からの目線で自殺志願者に寄り添った話を描きながら、それに手を貸す犯人は自分の欲を満たすために彼らを利用しているだけの単なる人殺しとして描かれるので、結局そのテーマに対しての答えが出てない様でムズムズしました。自殺志願者の願いには頷くけど、それに手を貸す奴は否定するって立場は結構ズルい作りだなと思った。作りとしては上手い綱渡りをしてるんだけど、犯人像のせいでモヤモヤする〜…。


フェリーで向こう側に行ってしまうとか、卓球でコミニュケーションとか、犯人が壁を超えて逃げていく境界線とか、多くの演出がどれをとっても個人的には嫌味がまったく無くて、

それを知ることでより作品を楽しめるっていう演出だったのが好きでした。【ドライブマイカー】の場合は演出を理解してない観客は置いていくっていう作りなのがホントにもうなんたらかんたらなんたらかんたら……。

 

【作りは超スゴいんだけど…】

ただ、主人公が犯人と裏で繋がってたのに貰える報酬が少ないから生活はあんまり変わってなかったってところで伏線を消しにきてたのは微妙でした。娘視点での母親の自殺描写が娘の想像だったのとかも惜しい。それをやられたら予想しようがないので連載漫画の後付けみたいで嫌でした。父親の最近の金遣いに違和感があるとかで、多少は変なニオイを残してくれないとそこまで嗅ぎつけれないから驚きを強制されてる感じがしてしまう。


クライマックスが終わったあともマトリョーシカでも肉がはみ出すくらい展開がパンっパンに詰め込まれてるので、終盤らしい空気感なのになかなかストーリーが終わらなくてずっと結末をさがしてました。絶対に必要なラストではあるんだけど、あまりにも話が終わらないからエンドロールが本編に突入してきて終わるタイプのアニメみたいな幕の引き方になるんじゃないかとヒヤヒヤしてた。そんなことはなかった。


ラストカットで卓球台に書かれてたSTARKERが一瞬STAIKERかと思って面白かった。ストーカーってさがすにピッタリじゃん…とか思ってた。そんなことはなかった。


犯人が妻を殺すあたりの描き方が闇のドキュメンタリーみたいで、映画ってことを忘れる勢いでした。


佐藤二郎さんは、こぼれる笑い声とか鳴き声が上手かったなー。


展開が忙し過ぎて、AV農家のジジィの存在感が薄くなってるのとんでもない事態。あれ自殺志願者よりも、社会の闇だろ。


ありがとうございました。